不動産名義変更等

相続不動産の売却時にとても重要!

はじめに

!相続不動産を誰か一人、代表者が名義変更して売却する場合に気を付けたいこと

不動産売却時に注意したいこと

相続した不動産を売却したい時、不動産の名義が相続人全員の名義(共有名義)になると売却の手続きが難しくなります。

なぜなら売却するとき、相続人全員(共有名義)が売買に関わることとなり、相続人全員(共有名義)の同意が必要となります。

もし、相続人の誰か一人でも売却に反対したり、意見が合わなければ不動産を売却することは難しいでしょう。

また相続人全員の意見が揃った場合でも、売却の時に必要な書類等も相続人全員分の書類が必要になります。(相続人全員の身分証明書や印鑑証明書、実印、住民票等)

決済時(売買代金の授受時)も相続人全員がそろわないといけないので、日程調整する必要があります。相続人全員が近くにお住まいなら問題ないでしょうが遠方にお住まいの方がいらっしゃる場合、日程調整が難航することがあります。

以上の点から誰か1人を相続人の代表者に決めて、相続した不動産の名義を故人の名義から代表者名義に変更し、売却する方が手続きの方がスムーズにいきます。

ただし、代表者1人の名義にして相続した不動産を売却する時に気を付けなければいけないことがあります。法律的なことと税務的なことが絡むので慎重に遺産分割をおこなう必要があります。

最近インターネット検索や法務局での無料登記相談では相続登記のやり方を指南してくれますが、それはあくまで手続きの表面的な方法です。(相続登記の検索、相続登記の相談には問題なく回答してもらえてるはずですし)

しかし、相続人の真意をくみ取って最適な提案をしてくれるとは思いません。不動産を相続して相続人が平等になるように代金を分けたいという要望は、相続登記の表面的な手法でなく、民法や様々な税目が絡むことを理解して進めていかないとなりません。

一般的な遺産分割協議書の雛形

ちなみに よくあるひな形は次のような形式だと思います。

遺産分割協議書のひながた抜粋内容は

次の不動産はA男が相続する。

 1 所在 佐賀県○○市○○町

   地番 〇番

   種類 宅地

   地積 100㎡

 などどと記載するようにと指南をうけるはずですし、そのようにあらかじめどの物件を誰が相続するか書き込み式の虫食い状態の遺産分割協議書をひな形として貰えます。あとは名義をA男に変更して。(通常の相続登記もなかなか大変かとは思いますが、無事に名義が変わったとして)その後売却してその代金から諸経費を引いた分を相続人で分けて一件落着と思われます。

事実お金は一旦相続人の思惑どおりに手にわたると思います。しかしその後時間をおいて問題がでてくることがよくあります。譲渡所得税、住民税、国民健康保険税、贈与税についてです。実に色々絡んできますね。

遺産分割の法的視点

まず、遺産分割してから不動産を売却し、お金を分ける行為を法律的に見てみましょう。

 遺産分割協議がまとまると、それまで遺産共有状態であった不動産は故人が亡くなった時に遡って協議で合意した人(この例ではA男)の所有物になります。つまり故人が亡くなった後、間をおかずA男の所有になったことになります。(イメージ的には父が死んだ瞬間に子に所有権が移ったイメージ)そのA男の不動産を売った場合は売買代金は全額A男のものになります。(代金は持ち主である売主に払うので当然ですね)そのA男のお金を他の相続人に分配する(あげる)ことは贈与にあたります。A男さんは分割をして相続人間が平等になったとおもうでしょうが、翌年(譲渡所得税、住民税、国民健康保険税)の負担が襲ってきます。そして分割を受けて平等になったと思ったA男以外の相続人は110万円以上の分配を受けた場合、贈与税の申告と納付を翌年しなくてはなりません。遺産分割、売買、贈与のコンボです。これを避けるためには遺産分割方法を工夫することで避けることができます。(換価分割)この方法と誰が相続するかを工夫することで不必要な税金を減らすことができます。

譲渡所得税とは、相続した不動産を売却した時に出た利益に対する税金のことです。

相続した不動産の取得した金額より、売却した金額(利益)が高ければ所得税・住民税がかかります。

国民健康保険税は会社員、その被扶養者以外の方が加入義務がある国民健康保険の加入者が支払う税金です。前年の所得に応じて変わるため、不動産を売却して一時的に所得が増えた場合この国民健康保険税もグンと上がります。(この税金が案外高く驚かれます)

相続した不動産を代表者1人の名義にして売却する場合のメリット・デメリット

メリット

相続した全員の名義(共有名義)で不動産を売却することと比べると、名義人が一人なので売却する時に必要な書類や決済時の日程調整も一人だけとなり、スムーズに行えます。また不動産を売却するときに必要な費用も最小限になります。

デメリット

売却する不動産を取得、購入した時と比べて売却の価格が高くなった場合、譲渡所得税の申告が必要となります。

その際、名義人の代表者だけ所得額があがり、住民税等が高くなる可能性があります。

また譲渡所得税を支払う時、他の相続人と支払いを分割する方法もありますが、譲渡所得は住民税にも影響があるのできっちり公平に分割するためにはシュミレーションをしておく必要があります。

毎年住民税が同じでしたら、他の相続した方が負担する費用も計算しやすいかと思いますが、そうでない場合は難しいでしょう。

どうしてもきっちり分けたい場合は売却金から税金として納める予定の分以外は相続人間でまず分配しておき、残りの税金として納める予定の分は手を付けずに共同で管理しておき税金を納付した後に改めて分割する方が誰からも異論がでないでしょう。

まとめ

遠方だけども売却までは足を運ぶのでお金の分割までスムーズに終わらせたいという方は相続した方全員の名義(共有名義)のまま売却することとなります。譲渡所得税の申告も各自で行い、住民税に関してもそれぞれの状況により上がりますので、公平に法定相続分遺産分割ができます。

どの方法で相続不動産を売却した方がいいのかその時の状況に応じて異なります。